『市場に並んでいても、顔を見ればうちの苺だとわかる』 マエムラファーム[志賀島/いちご農家]

『市場に並んでいても、顔を見ればうちの苺だとわかる』
マエムラファーム[志賀島/いちご農家]

 

 

秋も深まり、すっかり日足が短くなってきました。

弊社のそばの金木犀は、やっとオレンジ色の花が満開になり、季節を感じる甘い香りが漂っています。
とうとう苺のシーズンが到来ですね。
今日は南国フルーツの契約農園、志賀島のいちご農家「マエムラファーム」さんへお邪魔してきました。
 
「市場に並んでいても、顔を見ればうちのだとわかる。」そう仰るのは、代表の前村健太さん。
どんないちごをつくっていらっしゃるのでしょうか。

 


 
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1.農園をはじめたきっかけ
 【やりたいことは何なのか、模索しながらたどり着いた今のかたち】
2.地域の特徴     
 【吹き抜ける海風の恩恵】
3.こだわり
 【苗七分作】
4.最高の味わい方 
 【育てたからこそ思う、一番美味しい瞬間】
5.これから
 【“勝馬” という、この場所が好き】
6.おわりに
 【自分で詰めた苺の顔は、覚えています】
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1. 農園をはじめたきっかけ 
【やりたいことは何なのか、模索しながらたどり着いた今のかたち】


もともと前村さんは横浜でカーナビの一部になるシステムをつくっていました。
やりがいはある仕事だったそうですが、製品が大きくなるとより多くの人が関わり、必然的に担当するのはその一部に…。


自分がやりたいことは何なのか。よりシンプルに「自分でつくって、売る」を実現したいと、模索しながらたどり着いたのが「農業」。志賀島であまおう農家をするという今のかたちでした。

志賀島はお母様の故郷で、前村さんにとって馴染みの場所。ご親戚もこの地区で農業をされているそうです。

 

「前も今も“ものづくり”という点では変わりません」と仰る前村さん。
しかし大きく違うのは、作ることから販売まで、すべて自分で出来る、ということ。
そして、「生活を豊かにするものづくり」から「生活にとって必要不可欠なものづくり」だということ。


横浜にいる間に東北大震災を経験し、一次産業の大切さを実感したことも、農業を始める大きな要因になったと仰っていました。
 

2. 地域の特徴 
【吹き抜ける海風の恩恵】

 

砂の堆積で、陸続きになった全国的にも非常に珍しい島「志賀島」。
車や市中心部の天神から西鉄バスに乗り,約40分で行けるということもあり、日帰り旅行やドライブにも人気の場所です。
 
このあたりのいちご農家さんには「暖房機」がありません。
沿岸部といえば、内陸部よりも寒いイメージでしたが、海風は湿ったぬるい風が吹きます。
ぬるいといっても、体感的にはやはり寒いですが、いちごが育つ最低温度、5度を下回ることは、年に数日あるかないかで、冷たい風が山から吹き下りてくる盆地に比べると、温かいのだとか。
 


 
日中はしっかり陽が差すため、ハウスのビニールは2枚重ねず1枚にし、採光性を上げる工夫がなされていました。
日光が当たる時間や強さによってイチゴのおいしさが変わるので、なるべく自然のままの太陽が伝わるように、という想いからだそうです。

 

3. こだわり 
【苗七分作】


「元気な株から出来るいちごが一番おいしい!」

いかに株にとって心地よい環境をつくるか、を真っ先に考える前村さん。
地力を考えると、やはり地植えがいいそうですが、作業のことを考え、前村さんは高設栽培にしています。


それでも地植えに負けないようにと、肥料や保水などは繊細に慎重に管理していました。
お話を聞いているときにも、水が滴る音がポチャポチャと聞こえています。
水遣りは、このチューブの所々に穴が開いており、点滴のように水が出てくる仕組みです。


花の受粉は、ミツバチによって行われます。
いちごの受粉は、ミツバチにとっては重労働。

シーズンの終わりには通常はミツバチも半分ほどに減ってしまうのですが、前村さんのハウスでは、逆に増えているそうです。苗へのこだわりと愛情が、ミツバチにとっても、心地のよい環境なのかもしれません。


よく見てみると、ところどころに、深い穴が掘られています。
中には周りの土とは違い、白っぽい細かい石のようなものがパラパラと入っているのが見えますが、これは栄養剤です。
 
今は7枚ほど葉がでており、この肥料は今細胞分裂中の、これからでてくるだろう11枚目の葉っぱや花の栄養になるのだそう。
 
花はまだですよね~と尋ねると「狂い咲きした(季節を間違い咲いた花)のがいくつか咲いていますよ!」と案内してくれました。

ありました、きれいな真っ白い苺の花!
そしてその横には、小さな実。
 
綿棒で人工的に受粉させた実が、小さく育ち始めていました。
 
なんだか鮭の「トキシラズ」(通常の鮭の秋の収穫期を外れて春・夏に獲れる鮭。)のようですね。
「時を知らず」が由来ですが、脂がのっていて美味しく、高級魚と呼ばれます。
 
時を知らずに咲いたあまおうの花。

この小さな実が、今年のマエムラファームさんのあまおう第1号となるのでしょうか。
通常の出荷は12月上旬になりそうとの事ですが、この1粒がシーズンより一足先にきっと美味しく実るはず♪

 
 4. 最高の味わい方 
【育てたからこそ思う、一番美味しい瞬間】

 

生産者さんが思う一番美味しい食べ方ってなんだろう?
実は、私が今回一番聞きたかった事がこの質問です♪
 
「そ・の・ま・ま!そのまま食べるのが一番!なんにせよ、鮮度が大事。」と仰る前村さん。


なかでも、とっておきのシチュエーションがあるそうで…
「糖度ものった12月のしっかり寒い日に…もぎたてをそのまま食べる!これが最高に美味しい瞬間です。」
 


生産者さんだからこそ知っている、一番贅沢な味わい方。
その瞬間を味わうには、我々はいちご狩りにお邪魔するしかなさそうですね。
 
春先になると、あまおうの実のかたさも少しやわらかくなり、つぶしてヨーグルトにかけて食べるのもおすすめだそうです。

イチゴジャムをヨーグルトにかけて食べることはありますが、思い起こすと、生の苺をつぶしてヨーグルトと食べることはあまりないような…。今年の春には、早速してみようと思います。

 
 5. これから 
【勝馬というこの場所が好き】 

 

「“勝”に“馬”。フェラーリみたいで、カッコよくないですか?」
そう私たちに、この場所を紹介してくださった前村さん。
このあたりの地区は3つに分かれるそうで、ここは勝馬地区。
志賀島といえば、金印!そういうイメージだからこそ、「勝馬」という名前で勝負をしたい。
そんな想いで、いちごを作り続けています。
 

写真奥はお父様。ご家族で営まれている「マエムラファーム」さん。
 
観光農園としていちご狩りもしており、こちらも好評でシーズンには賑わいます。

店頭に並ぶ分は、その日数を加味して実を摘まないといけません。

市場には出回らないぎりぎりまで蔓で完熟したあまおうは、現地でのみ味わえるもの。

イチゴ狩りをご予約されるお客様も年々増えているそうです。

 

ハウスの隣には、こんな光景が広がっていました。


 
先月、小学生が稲刈りをしたそうです。
田植えにはじまり、収穫まで、授業の一環で行っており、夏にはマリンスポーツもあるのだとか。
全校生徒は20名ほど。この日も学校帰りの元気な小学生の声がしていました。

前村さんは現在40歳。
保育園にお子様を預けてから畑に来ていて「僕が一番(畑に来る時間が)遅いんです!」と仰っていました。

苺の取材に来たつもりが、いつの間にか、なんだかこの地域のぬくもりに、

ほっとあたたかい気持ちになっていました。

 
6.おわりに 
【自分で詰めた苺の顔は、覚えています】

 

 お顔の見えないネットでの販売。お客様へ伝えたいことを…と一言お願いすると、「一生懸命作ったので食べてください」と、真っすぐで飾らない前村さんらしいメッセージを頂きました。

今回の取材で、私が一番心に残っているのは「自分で詰めた苺の顔は、全部覚えています」と仰った前村さんの言葉でした。

「市場に並んでいても、顔を見ればうちのだとわかります。」

この一言が、前村さんのあまおうへかける想いのすべてを表しているように思います。


思い出が詰まった手作りの看板。

私たちが帰る前に、「ここに苺のオブジェがあったんですよ!」と、FARMの両サイドを指さし、月日と共に劣化して取れてしまったことを、はにかみ笑いながら教えてくださった前村さん。

今日も、たっぷり陽を浴びて着々と育っています。

真っ赤なつやつやのあまおうが実る日が待ち遠しいですね。

 

(取り扱い店 : オンラインサイト、弊社の直営店岩田屋B1フルーツ売場)

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